清明・穀雨

風光る寒暖の差が激しい初春を過ぎ、日差しが徐々に増して くると、吹き渡る風さえもきらきらと光輝いているように感じられます。 その心象風景を表わした 季語が「風光る」です。穏やかな駘蕩とした春風と比べ て、生き生きとした躍動感が 感じられたり、やわらかな風に感じられたり、主観に よってさまざま。うららかな 陽光の中、目に映るものすべてがきらめき、春の喜びを 感じるのは確かです。 春を通じて用いられる季語ですが、初春は未だ寒さが残 るため、仲春から晩春にかけてが 相応しいように思えます。どことなく新味な印象を与える響きが今の時代にも好まれ る言葉ですが 実は江戸時代中期の歳時記にも登場します。

美しい日本の季語より